愛しきキミヘ
そしてついに涙が溢れた。

「それで健太くんもあの人に見えて来ちゃって…
別れた時、私言えなかったの。
もっとたくさんボロクソに言いたかった。
でもあの人はあんな女でも好きなんだもん。
逆効果になりそうで。
もっと嫌われそうで、言えなくて。
だから健太くんとさゆりって子に爆発しちゃって…」

「そっか。」

俺は相槌しか出来なかった。

あんなにも無邪気に笑っていた希美にそんな事があったなんて。


「誰も怒らないよ。
頑張ったんだな。」

そのひとことで希美は更に声をあげて泣いた。
< 44 / 68 >

この作品をシェア

pagetop