愛しきキミヘ
「あの人の面影がびっちりある山形にはとってもいれなくて。
こっちに出て来たの。
何も思い出のない所にいないと、死んじゃいそうだった。
人見知りしてた私が、誰も知らない所に行くなんて本当にやばかったんだと思う。
ひでくんが私の事救ってくれたの。」


「うん。
課長に救ってもらえて、こっち来て良かったんだな。」

「そうみたい。
健太くんとも友達になれたし。」


友達か。

その言葉に切なくなりながら、俺は希美を強く抱きしめた。


「俺もいるから。
いつでも頼っていいから。
いつでも電話してきていいから。」

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