マリン【短編】完結
ざぶんっ
さばっ
ぼーん
何度も飛んでは
水槽の中に引き込まれて
綺麗な水しぶきを上げる
ステージではキラキラ光るネオンがこれまた幻想的で
隣で眠る新田なんかそっちのけで一人イルカショーを楽しんだ。
「今日は、ありがとうございました。」
そう、アナウンスが入り、
イルカ達が体を左右にくねくねさせて、あたしたちに手を振っている
「新田!新田ー!終わったよ!」
ぐっすり眠っている新田を
起こす
「ん?マリ?なに?」
目を擦りながら
片目であたしを見つめる
「だから、イルカショー終わったから」
帰ろうと促すあたしに
新田は状況が理解できた
ようで、立ち上がった。
「今日はありがとうね」
歩いてる途中
珍しい沈黙の中あたしは言った。
「マリンのためならなんだってできちゃうから、任せて」
なんて言って、微笑むから
少しドキッとした。