マリン【短編】完結
あたしの頭の上に顔を乗せる新田
「篤志っ、あんたまたマリンちゃん困らせて」
「おー、由紀ちゃん!」
「おー、じゃないわよ、離れてあげなさい」
「そんなこと言ったって、抱き心地良すぎなんだもん」
あたしの頭上で繰り広げられる会話
「マリンちゃんの迷惑も考えなさいって言ってんのー!」
あたしの手を引いて逃げ去る新田に声を上げる小柳由紀ちゃん
「あはは、由紀ちゃんは本当、マリンだいすきだな」
少し走って、爽やかに言う新田に打って変わって、あたしは息も絶え絶え
「は…速すぎ…」
息を整えているあたしに
陽気に微笑みかける新田
「マリンは運動音痴すぎ」
「う…うるさい……」
第一、なんであたしが走らなきゃいけないのよ…
「マリーン!」
文句を言ってやろうと顔を上げると、勢い良く抱きついて来た新田
「でっ」
鼻の頭を新田の胸板でぶつけたあたしは、涙が滲み出た。