マリン【短編】完結
「マリンは、今日暇だよね?」
鼻を擦るあたしなんかそっちのけで
顔を覗き込む新田
「へ?今日?暇だけど…」
眉間に皺を寄せて新田を見上げると、
新田は嬉しそうに顔を歪めた
「よし、じゃあ、デート決まり!」
「え?デート?」
新田の言葉に首を傾げると、
新田はフフンと笑って
こう告げた
「今日はマリンと俺の記念日!」
記念日?
「え?記念日?なんの?」
眉をしかめるあたしのおでこに
軽く唇を落とす新田。
「なッ!」
真っ赤になるあたしに
優しく微笑むと
「マリンに会って早一ヵ月、今日は一ヵ月記念のデート」
と言って、新田はあたしの頭を優しくなでると、
強く抱き締めた。
「て、なんでデートなんかしなきゃいけないの!」
場の雰囲気に流されかけていたあたしは、
新田の腕の力で我に返った。
「また、また〜、照れちゃって」
「照れてない!」
あたしと新田は別に付き合ってるわけじゃない。
それに、好き合ってるってわけでもない。