マリン【短編】完結
「あ、マリンちゃん、大丈夫だった?」
教室に戻ると、由紀ちゃんが
あたしたちの元に駆け付けた
「あ、うん、大丈夫!」
新田に手を握られたまま
あたしは由紀ちゃんに
ニッコリと微笑んだ。
由紀ちゃんは、良かった。と
安堵のため息を漏らしていた。
「由紀ちゃん、そんなに心配しなくても、俺、マリンだけは大切にするから」
開いた方の手で
由紀ちゃんにピースを
送る新田。
もう、意味わかんないや。
あたしは、新田の手を
無理矢理剥がすと自分の席に戻った。
由紀ちゃんと新田は
何やら言い合っている。
朝から元気でいいな
なんて、他人のように
眺めるあたし
新田は、由紀ちゃんはあたしのことを好きだから、
いつも心配しすぎていると言うが
なんだか、あたしには
違うようにしか思えない。
由紀ちゃんは、新田のこと
好きなんじゃないの?
て、まぁ、何度も由紀ちゃんには
ありえないから。と、否定されてはいるが……