マリン【短編】完結
歩くこと、数十分
「マリン、着いたよ!」
新田のその声に顔を上げると
そこにあったのは水族館だった。
「水族館?」
「そ、マリンは、水族館好き?」
「嫌いじゃないけど」
むしろ好きな方
そっか、と言って
中に足を運ぶ新田。
にしても、学校帰りに
水族館て…
せめて、明後日の土曜日にすればいいのに…。
「今日はね、イルカショーがあるんだって」
イルカショー…
そんな子供騙しなショー…
「ホント!?やったぁ!あたし、大好きなの!」
と、頭の中とか裏腹に素直に喜んでしまう自分がいた。
「マリンの好きなものなら、なんでも知ってるからね〜」
喜ぶあたしを見て、
嬉しそうに微笑む新田
意味のわからないデートだけど
今日はイルカショーに免じて
許してあげよう…。
あたしはイルカショーが
始まるまで水族館の中を見て回った。