いちごあめ
★
あぁ―
だんだん朝がだるくなる
この道を歩くと
昨日の出来事が
よみがえる
ボロボロになった
いちごあめ
いちごあめのおいしさが
伝わった瞬間
何だか重みのある
日になった
ガラガラ
教室の扉をあけると
すでに多数はきている
「おはよう。さち」
「おはよう!」
自分の席の方を見ると
すでに座っている
健くんの姿があった
「おはよう!健くん」
「おはよ。」
「はやいね」
「そうかな??」
「うん!」
あたしはゆっくり
椅子に腰をかけた
すると...
「なぁ...。」
「ん??」
「これ。」
「なに??」
健がさしだしたのは
可愛い袋に包まれた
いちごあめ
だった
「ほら!」
「え??」
「やるよ。」
「いいよ。健くんが
食べなよ!
昨日あんなにうまい
って言って...」
「これはその...
昨日のお礼と
お詫びっていうか
そんな感じ。
さちが好きなもん
ダメにした代わりに
なるかはわかんねぇ
けどさ...」
「なるよ。」
「えっ??」
「こんな事まで
してくれて
ありがとう。
でももう本当に
大丈夫だから」
あたしは鞄から
いちごあめをまた
とりだして
健くんにあげた
「こっちあげるよ」
あたしがさしだすと
「さんきゅ―」
笑顔で健くんは答えた
「うん!!」
「ってかさ...」
「うん...」
「くん。付けやめてくれ」「え―!!なんで」
「いや...
もう小学生低学年な
わけじゃないんだし。
恥ずかしいから
呼び捨てにしてくれ」
「はいは―い」