夜中散歩
「流れ星、流れ星流れた!」
携帯に目を向けている私をよそに、拓が叫ぶ。
「え、うそ!?どこ!」
「もう流れちゃったか・・・」
しょげていると、拓が携帯を差し出した。
携帯の画面を見ると、撮った写真の端っこに、流れ星と思われる飛行物体がちゃんと写りこんでいた。
その写真を送ってもらった私は早速待ち受けの画面に設定して、それをずっと眺めていた。

「拓は待ち受けにしないの?」
拓の携帯を見てみると、満月の写真だった。
「俺は星より月が好きだから」

私と目を合わせて笑う。
その言葉を聞いた瞬間、自分はこの人が好きだと確信した。

自分のなかで他人とこんな風に笑ったり、同じ時間を過ごして嬉しいと思うことなんて一度もなかったから。
誰かといることは煩わしい、面倒くさい。
そんな気持ちがいつもあったから。

私には告白とも取れる言葉だったけれど、今となっては何もかも分からないね。

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