夜中散歩
家を出ようとしたとき、案の定、父に呼び止められた。
「また出かけるのか」
返事もしないまま、ブーツの履こうとする。
「そんな格好して・・・恥ずかしいと思わないのか」
「何歳だと思ってるんだ?」
ブーツを両足履き終えると、振り返って父に言った。

「うるさいんだよ」


そう言った後のの父の顔といえば、本当にひどいものだった。
例えるとするなら、鬼のお面のような顔。
可愛い鬼のお面ではなくて、本当に鬼そのもの。
当たり前の如く殴られた私は、ヒリヒリと痛む左頬を押さえながら、冬に差し掛かった寒空の下を走っていた。
自分のことを唯一分かってくれる、信じてくれる、仲間のもとへ。

分かって欲しい人に分かってもらえない事が、一番辛いことだと思う。

『2000.11.06
一人が好き、でも独りにはなりたくない
それはわがままかなぁ、なんて。
正しいか否かなんて、誰も教えてくれない』

澤井満月。
平々凡々な中学生。
ちょっと枠からはみ出るだけ。あとは至って普通。

ありふれた幸せが欲しくて、求めてる。
豪華なものとか、レアなものはいらない。
普通でいい幸せが欲しい、そう思ってるだけ。

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