夜中散歩
案の定、家の周りには数台のパトカーが停まっていた。
先生が大人たちに話しかけ、家に入ることが出来た。
母の声。そして誰かの声。想像していた光景と同じ。
「お母さん」
声をかけると、母は顔を真っ青にしていた。
白いハンカチで口を押さえて涙を流す。満月の姿を見るなり、弱々しい力で抱きしめた。
「満月・・・」
「・・・何かあったの?」
満月は周りを見渡して言った。
そして一人の人と目が合う。
父と同い年くらいの、黒いコートを着た人。
あぁ、そっか。
すぐに分かった私は、相手に向かってお辞儀をした。
その人もそれに合わせてお辞儀をする。
「君が満月ちゃん?妹の」
手に持つメモを見ながら話しかけてくる。
「はい、そうです」
「早川です、こっち来て話そうか」
ジャケットから何かを取り出す。警察手帳。
初めてこの目で見る光景。
この人は私の敵だ。
リビングの隣の部屋へ移動してテーブルを挟み、話を始める。
「あの、何かあったんですか?」
何も知っていないような口ぶりで聞く。
あくまでも普通に、を心がけて話したが、相手にどう映るかはわからない。
悟られないようにしても、相手は警察だ。
ここに来て初めて拓が言った意味が分かる。
飯島は咳払いをし、私を見た。
「お兄さんの優哉さん」
「はい」
「亡くなってたんです」
反射的に、手が口を押さえた。
母は見たのか。
私でさえ見ていない光景を。
先生が大人たちに話しかけ、家に入ることが出来た。
母の声。そして誰かの声。想像していた光景と同じ。
「お母さん」
声をかけると、母は顔を真っ青にしていた。
白いハンカチで口を押さえて涙を流す。満月の姿を見るなり、弱々しい力で抱きしめた。
「満月・・・」
「・・・何かあったの?」
満月は周りを見渡して言った。
そして一人の人と目が合う。
父と同い年くらいの、黒いコートを着た人。
あぁ、そっか。
すぐに分かった私は、相手に向かってお辞儀をした。
その人もそれに合わせてお辞儀をする。
「君が満月ちゃん?妹の」
手に持つメモを見ながら話しかけてくる。
「はい、そうです」
「早川です、こっち来て話そうか」
ジャケットから何かを取り出す。警察手帳。
初めてこの目で見る光景。
この人は私の敵だ。
リビングの隣の部屋へ移動してテーブルを挟み、話を始める。
「あの、何かあったんですか?」
何も知っていないような口ぶりで聞く。
あくまでも普通に、を心がけて話したが、相手にどう映るかはわからない。
悟られないようにしても、相手は警察だ。
ここに来て初めて拓が言った意味が分かる。
飯島は咳払いをし、私を見た。
「お兄さんの優哉さん」
「はい」
「亡くなってたんです」
反射的に、手が口を押さえた。
母は見たのか。
私でさえ見ていない光景を。