夜中散歩
普段、学校が好きではない私に何度も、
「学校へ行け」
と言う父は嫌で嫌で仕方がなかった。
勿論今でもそう。
少しでも朝起きるのが遅いと、部屋まで上がってきて怒鳴りつけた。
その度私は父親なんて居ないほうがよかったと思い続けてた。
だから、『あんなの』は居なくなったほうがいい。
その方が何かと私も面倒なことにはならないかもしれない。
けれど、命を落とさせる。
もし真実を知ってしまっていても、話すことが出来ないのであれば意味がない。
真実を知ってしまったら、もう最後だとしか言いようがない。
真実を知ってしまったところで、その前とは違ってしまうものがある。

父を殺すことになれば、家は引き払うことになる。
そしたら私は、母の実家で暮らすことになるんだろう。
勿論、拓とも離れ離れになる。
それに変えてでも、やらなくちゃいけないことなのか?
そんな風に問われれば、どこか揺らぐものがある。
兄はまだしも、父が死んだとなれば、母の悲しみも相当深い。
長年連れ添った恋人が居なくなってしまうのだ。
私にはまだ分からないけれど、辛いことなんだと思う。

それでも。
私は拓が好きだし、大切に思っている。
少年法がなんたらとか言うけれど。
もしそれが味方をしてくれたとしても。


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