夜中散歩
見慣れた景色と言えばそうなんだけれど、やっぱり普通ではなかった。
普通って何?と聞かれれば正しい答えは私の中にはないけれど。
世間一般の目から見て、『女の子同士』は普通じゃないと思うから。
それが私には心地よい空間だった。
「外すっごい寒かった」
コートを脱いで、そこらへんに置く。
「まじで~?ずっと部屋に居るからわかんないや」
六畳の部屋に十人近く人間が詰められていたら、そりゃあ寒さも少しは和らぐだろう。
とりあえず床に散らばる漫画やらDVDやらを退かしていると、見慣れない顔の人が居た。
近くの学校の制服っぽいけれど、見たことのない顔。
何で制服?とか思いつつ、床に座る。
黒髪で短髪。特に何かを話す訳でも、笑ったりする訳でもない。
「ね、あの制服の人って誰?」
隣に座るユキに聞いてみると、呂律の回らない声で言った。
「渡月拓。林中だよ」
ユキはそう言うや否や、席を離れてしまった。
珍しい人・・・と思ってその姿を見ていると、ふいに目が合った。
六畳の部屋の隅と隅。間には人が何人も居るのに、なぜか目が離せない。
目を合わせてるのも恥ずかしくなった満月は、とりあえず目線を下に移した。
制服の第二ボタンあたりをずっと見ていると、拓がその場を立った。
そして満月の元へ足元を見ながら歩いてくる。
普通って何?と聞かれれば正しい答えは私の中にはないけれど。
世間一般の目から見て、『女の子同士』は普通じゃないと思うから。
それが私には心地よい空間だった。
「外すっごい寒かった」
コートを脱いで、そこらへんに置く。
「まじで~?ずっと部屋に居るからわかんないや」
六畳の部屋に十人近く人間が詰められていたら、そりゃあ寒さも少しは和らぐだろう。
とりあえず床に散らばる漫画やらDVDやらを退かしていると、見慣れない顔の人が居た。
近くの学校の制服っぽいけれど、見たことのない顔。
何で制服?とか思いつつ、床に座る。
黒髪で短髪。特に何かを話す訳でも、笑ったりする訳でもない。
「ね、あの制服の人って誰?」
隣に座るユキに聞いてみると、呂律の回らない声で言った。
「渡月拓。林中だよ」
ユキはそう言うや否や、席を離れてしまった。
珍しい人・・・と思ってその姿を見ていると、ふいに目が合った。
六畳の部屋の隅と隅。間には人が何人も居るのに、なぜか目が離せない。
目を合わせてるのも恥ずかしくなった満月は、とりあえず目線を下に移した。
制服の第二ボタンあたりをずっと見ていると、拓がその場を立った。
そして満月の元へ足元を見ながら歩いてくる。