夜中散歩
「大丈夫だから、守るから」
そこに、少しでも光があるならば。
信じてみたい。
信じる価値は、あると思うんだ。
冷たい手のひらを、温かい感触が包む。
見透かされてるんだろう。全てを。

「私は、拓のこと悪いとは思わないし」
小さな光が、いつも隣に居てくれるなら。
「良いとも、言えないんだけど」

五時を知らせる放送が流れ、子供たちが公園を去っていく。
五時だというのに、外は暗く外灯が点いている。
「そろそろ帰るね」
立ち上がって、ダウンのポケットに手を入れる。
何も言わずに俯く拓。

「やったら、また会おうね」
そんな言葉を言って、無理に笑う。
隣にあった温もりが少しずつ冷めだす。

言葉は残酷だ、
人を傷つけるのも、癒すのも言葉と人。
『また会おう』
そんな言葉、言ったところで確証はない。

「さよなら」は悲しい。
「バイバイ」も切ない。
また、会いたくて。
会えるって信じていたくて。

信じていても、苦しくなるだけなのに。
辛くなるだけなのに。
信じてしまう。願ってしまう。
切なく、苦しく、儚く。

出来るかどうか分からない約束をしてしまうんだ――――。


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