夜中散歩
私の真実と、父の真実。
どちらが重くて、どちらが残酷なのか。
「これ見ても、何とも思わない?」
満月の手には、一枚の写真。
これが現実。父の真実。
真実を現す、たったひとつのもの。
目を見開いて、何かを言いたげな父。
「馬鹿じゃん、こんなことしてさ」
「それは・・・違う、お父さんじゃない」
「じゃあこれ誰よ?これ、見たことあるでしょ?」
声が荒くなる。
写真に指をさす。
「真希さんでしょ、お兄ちゃんの彼女」
もう何を言われても、何を隠されても、
そんな事どうだっていい。
この手にある、見たものだけが本当のこと。
隠すことなんて、出来る訳がない。
「違う、違う」そう否定し続ける父を、少しずつ追い詰める。
酒を飲んでいるなら、そのまま落ちてしまえばいい。
これで死なないのなら、また他の方法を考えればいい。
どちらにせよ、この人は死ななくちゃいけない。
一瞬の隙を見て、父が手を伸ばした。
その手を払って父の体を押す私。
父の足が居場所を失い、落ちていく体。
一瞬の出来事なのに、酷くスローに見えるその光景を見て、満月は笑った。
どちらが重くて、どちらが残酷なのか。
「これ見ても、何とも思わない?」
満月の手には、一枚の写真。
これが現実。父の真実。
真実を現す、たったひとつのもの。
目を見開いて、何かを言いたげな父。
「馬鹿じゃん、こんなことしてさ」
「それは・・・違う、お父さんじゃない」
「じゃあこれ誰よ?これ、見たことあるでしょ?」
声が荒くなる。
写真に指をさす。
「真希さんでしょ、お兄ちゃんの彼女」
もう何を言われても、何を隠されても、
そんな事どうだっていい。
この手にある、見たものだけが本当のこと。
隠すことなんて、出来る訳がない。
「違う、違う」そう否定し続ける父を、少しずつ追い詰める。
酒を飲んでいるなら、そのまま落ちてしまえばいい。
これで死なないのなら、また他の方法を考えればいい。
どちらにせよ、この人は死ななくちゃいけない。
一瞬の隙を見て、父が手を伸ばした。
その手を払って父の体を押す私。
父の足が居場所を失い、落ちていく体。
一瞬の出来事なのに、酷くスローに見えるその光景を見て、満月は笑った。