夜中散歩
「拓、どうすればいいと思う?
110番して、言ったほうがいいのかな?
そしたらあたしどうなっちゃうのかな?捕まるのかな?」

何を言っても答えが見えない。
何を話しても上手く言えない。

「落ち着けよ満月」

拓に肩を掴まれてやっと言葉が途切れる。

「落ち着けって?
じゃあ家に来る?あたしのお父さん死んでるよ?
お母さんが見たらどう思うか分かってるの!?」

「じゃあなんで殺した!」

雨音の中響く二人の声。

「そんなの・・・決まってるじゃん
バレたからだよ!お父さんは知ってたの!
あたしたちがお兄ちゃん殺したこと!
あたし・・・怖くなって・・・
お父さんのこと許せなくて、写真見せたらあたしの手掴もうとして・・・そしたらお父さん階段から落ちてった」

手の感覚。お父さんが落ちた音。

雨に濡れていても感覚は分かる。






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