夜中散歩
2002年12月
「真希」
私を呼ぶ声がした。
「修二」
笑顔になるあなた。
白い息を吐きながら、あなたが言う。
「どうしたの?そんな鼻真っ赤にして」
冷たさで感覚を失った鼻を指で摘まれる。
「ううん、ちょっと昔のこと思い出しちゃったの」
「そっか」
「うん」
手を差し出され、歩んでいく。
世間はもうすぐで2003年に差し掛かる頃だった。
あれから2年。
16歳になったは私は東京の高校に通いつつ、バイトに励む毎日を送っていた。
中学卒業と同時に逃げるように東京へと来た私は何も考えてはいなかった。
当てもなく何日かを過ごし、貯金が果てた頃。
公衆電話から電話をかけたのは、東京に住んでいた親戚のおばさんの元。
とりあえずの事情を話すと、おばさんは何も言わず「うちへおいで」と言ってくれた。
交通費も持っていない私を四月としては異例の寒さの中、駅まで来てくれたんだっけ。
何ヶ月かして家を出て、おばさんにマンションの一室を借りてもらい、私はそこに一人暮らしをしている。
母親とも連絡を取っていない日々がもうすぐで一年という頃。
私を呼ぶ声がした。
「修二」
笑顔になるあなた。
白い息を吐きながら、あなたが言う。
「どうしたの?そんな鼻真っ赤にして」
冷たさで感覚を失った鼻を指で摘まれる。
「ううん、ちょっと昔のこと思い出しちゃったの」
「そっか」
「うん」
手を差し出され、歩んでいく。
世間はもうすぐで2003年に差し掛かる頃だった。
あれから2年。
16歳になったは私は東京の高校に通いつつ、バイトに励む毎日を送っていた。
中学卒業と同時に逃げるように東京へと来た私は何も考えてはいなかった。
当てもなく何日かを過ごし、貯金が果てた頃。
公衆電話から電話をかけたのは、東京に住んでいた親戚のおばさんの元。
とりあえずの事情を話すと、おばさんは何も言わず「うちへおいで」と言ってくれた。
交通費も持っていない私を四月としては異例の寒さの中、駅まで来てくれたんだっけ。
何ヶ月かして家を出て、おばさんにマンションの一室を借りてもらい、私はそこに一人暮らしをしている。
母親とも連絡を取っていない日々がもうすぐで一年という頃。