夜中散歩
あの事件が起きて、母親は家族みんなで住んだ家を手放した。
小さな団地に住み始めた私と母親の暮らしは、とてもではないけれど人に言えるようなものではなく。
家には男を連れ込み、食事もろくに与えてもらえない時期が続いたとき。
私の知らない間にその男と再婚までしていたという。
担任の薦めで心療内科に行った私に言われた言葉。
「あなたの家庭は機能不全家族かもしれない」
聞きなれない言葉を聞き、詳しく教えてもらったところ、私の家庭に当てはまるようなことばかりだった。
「このままじゃ、あなたがおかしくなる」
あの時言われた言葉を、私は忘れない。
「真希、そろそろ誕生日だっけ」
彼が言う。
「あー、そうかもしれない」
笑って見せると、彼は眉を下げて笑った。
「そうかもしれないって・・・自分の誕生日も忘れたの?」
思い出したくない。
あれからいくつか誕生日を迎えてきたけれど、ろくな誕生日を過ごした思い出がないから・・・
小さな団地に住み始めた私と母親の暮らしは、とてもではないけれど人に言えるようなものではなく。
家には男を連れ込み、食事もろくに与えてもらえない時期が続いたとき。
私の知らない間にその男と再婚までしていたという。
担任の薦めで心療内科に行った私に言われた言葉。
「あなたの家庭は機能不全家族かもしれない」
聞きなれない言葉を聞き、詳しく教えてもらったところ、私の家庭に当てはまるようなことばかりだった。
「このままじゃ、あなたがおかしくなる」
あの時言われた言葉を、私は忘れない。
「真希、そろそろ誕生日だっけ」
彼が言う。
「あー、そうかもしれない」
笑って見せると、彼は眉を下げて笑った。
「そうかもしれないって・・・自分の誕生日も忘れたの?」
思い出したくない。
あれからいくつか誕生日を迎えてきたけれど、ろくな誕生日を過ごした思い出がないから・・・