夜中散歩
久しぶりの学校へと歩みを進めると、少しずつ鼓動が早くなる。
通い始めて二年になるけれどまだ慣れていないというのが現状。
携帯の着信履歴を遡って、【母親】の文字を見た。
きっとお金の催促だ。今月まだ送ってなかったんだった。
家を離れてから月に一度、五万円程度の仕送りを母に送っていた。
それが私と母親がした約束。

自分を落ち着かせるために、深呼吸をしたところで肩を叩かれた。

「満月!やっぱり満月だ」
振り返ると、静奈が居た。
私の隣を歩いている、飯山静奈。
一年の頃から同じクラスで、言うなら一番の親友。
太陽みたいな子で私には眩しいくらいにも感じてしまうほど、明るい性格。
みんなからはシーと呼ばれている。

「ねぇねぇ、冬休みみんなでどっか出かけない?」
「あー、いいねぇ!」
今月の下旬から始まる冬休み。
最近、私とシーの話題といえばもっぱらこの話題。
「満月、バイト休めそう?」
「んー・・・クリスマスが一番稼ぎ時だからなぁ・・・」
「いいじゃん!満月も華の17歳になるんだし!みんなでパーッとお祝いしようよ」
「華の17歳って・・・シー、おばさんくさい」
そう言って笑いつつ、学校へと足を急いだ。
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