夜中散歩
「おはよー、満月ちゃん!ねぇクリスマスって暇?」
クラスに入るなりいきなり声をかけてきた相手。
「ちょっと!やめてくれない?冬休みはうちらプチ旅行に出かけるの」
席に着いていつも通り話し始める私達。
シーが話していると、自然に生徒たちが集まってくるのが不思議。
「だってさぁ、去年満月ちゃんが売り子してくれたら売り上げ凄かったんだよ?」
「でもだめ!満月も去年は暇だったの」
去年のクリスマス。
確かに私は、クラスメイトの大賀くんの実家のケーキ屋さんで一日だけ売り子をした。
寒空の中、サンタさんのコスプレをしてケーキを売りまくってたっけ・・・
本当はクリスマスもバイトの予定だったんだけど、「どうしても」ってお願いされたら断れなかった。

「クリスマス何するの?」
「んー、まだ決めてないけど二人で過ごす予定だよね♪イブは満月の誕生日だし!」
それを聞いて大賀くんは「そっか!誕生日か」と言った。
「じゃあ俺も行きたい!」
こっちは加住くん、クラスでも騒がしいグループに属しているほう。
「分かった、じゃあ男呼べ男!こっちは女の子集めるからさぁ~」
「ちょっと、シー!あたしまだ何も言ってないけど」
「いいじゃん、満月もたまには全てを忘れようぜ!」
上手く丸められて、シーと男子軍はどんどん話を進めていく。
「クリスマス暇な人ー!?」と声を張り上げては、クラスのほとんど全員が手を挙げる。

私・・・イブは仕事なのに・・・
他にシフト詰めるしかない。諦めてみんなとは少し離れた場所でメールを作成する。
【おはようございます。真希ですm(__)m
いきなりで申し訳ないんですけど、24日と25日ってお休みって貰えますか?】
自分でも無理な話だと思い、メールを送った。

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