夜中散歩
「じゃあ、質問」
「なんですか?」
「どうやって殺したの?あたし、そこ気になる」
「絞殺」
と、素直な言葉がこぼれた。
すると小雪さんは、
「絞殺?首でも引っ張ったの?」
不思議そうに聞く。
「引っ張ったっていうか、縛り上げたに近い」
あまりに私が真面目そうに答えたのか、目が合ってすぐに小雪さんは笑った。

「変なの、真希ちゃんって嘘が上手だね」
嘘じゃないのに、信じるほうが馬鹿か。
「嘘ばっかりついて生きてきたんで、私はね」
私はねの言葉に重点を置いて。
小雪さんは、嘘をつくとか知らなさそうだもんな。
「ひどい。私だって嘘ぐらいつくよ」
「本当に?」と聞きながら腕時計を見れば。そろそろ映画が始まる頃。
「大事なのは、その嘘が見抜かれるか見抜かれないかですよ」
きょとんとする小雪さん。

「そろそろ行きましょう」
と言って、私たちは席を立った。

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