◇糖度爆発◇【ケンカ上等☆続編】
何かあったのかな?
ちょっと心配かも。
「あたし探してくるね」
作業途中の材料を置いて立ち上がろうとした時
「白石くんなら、さっき帰ってったよ?」
突然、背後からの高い声が耳に入り込んだ。
振り返ると、同じクラスの女の子たちが数人。
そのうちの一人が、赤いマニキュアを器用に塗りながら教えてくれる。
普通、学校祭の準備中にマニキュアは塗るものではないんだけれども……。
「なんかね、めっちゃ急いでますぅーみたいな感じで、オレ先帰るわ〜とか言って消滅したーみたいな?」
消滅って……まさか死んじゃったとかじゃないよね。
急いで帰ったってことは、それだけ大切な用事があったってこと?
芽咲と一緒に帰るために時間合わせた、とか。
見たいテレビがあるから帰った、とか。
ただ単純に作業が面倒になったからサボり、とか。
「俺、なんも聞かされてねぇんだけど」
いくらでも出てきそうな言い訳に歯止めをかけるように、翼へと目配せする。
だけど、やっぱり翼でさえ理由を知らないみたい。
あたしは置いておくとして、大親友の翼に何の知らせもなしに帰宅するのはおかしいと思う。
「なに考えてんだ、太陽のヤツ」