◇糖度爆発◇【ケンカ上等☆続編】
本当に急いでたから、翼に知らせるのも忘れちゃっただけ?
だとしたら、その急用って何?
「電話もメールもなしかよ」
ケータイを見て、ため息。
あたしも一応チェックしてみたけど、誰からも連絡らしい連絡は来ていない。
「どうしちゃったんだろ」
ぼそっと呟いて俯くと、翼の手のひらが頭に乗っかる。
「明日、太陽に直接訊けば大丈夫だろ」
「……うん」
顔をあげて笑ってみせたあと、再びあたしたちは作業に戻った。
それからしばらく、教室の装飾配置や当日の役割分担なんかを決めて。
「お疲れ様でしたー」
解散の合図が明るい教室中に響き渡る。
秋の外は、もう真っ暗だ。
「みくる、行くぞ」
「うんっ」
教室のドアのところにいる翼に呼ばれ、まだ賑やかなこの場を出ていく。
日が落ちるのは、あっという間。
気温もだいぶ低くなった。
靴を履き替えて翼の隣に並んだ時
「えへへ」
照れ隠しして笑いながら腕に抱きつく。
「……歩きにくい」
「えー、翼冷たいよ」
「冗談」
いつもながらの言い合いをしながらの下校は、あたしにとって幸せなひと時。