◇糖度爆発◇【ケンカ上等☆続編】
教室から出る直前、振り返ってガッツポーズ。
翼は状況の把握ができていないのか、もの言いたげに口を開いたままあたしを見送る。
絶対捕まえてみせるからね。
そして理由をはっきりさせてみせる。
芽咲の不安を取り除いてあげたいもん。
キョロキョロ見渡しながら、廊下をゆっくり進んでいく。
どこかに隠れてる可能性もあるだろうと、丁寧に。
「太陽知らない?」
装飾準備をしている友達をみつけては、目撃していないかを尋ねて回った。
けど、返ってくる答えは知らないよというものばかり。
あきらめかけて、自分の教室に戻ろうと階段をあがっていた時
「お願い!」
どこからともなく、耳に入ってきた女の子の声。
何か必死な気がする。
「何でもするから!」
うん、やっぱり必死だ。
「どうしてダメなの?
ねぇ、お願い……」
階段を上りきった踊り場。
並ぶ教室の一つから、その声は放たれているみたい。
どこの教室だろう?
興味本位で、引き寄せられるように教室を見ていく。
………と、とある教室──俗に言う空き教室ってヤツで。
開けっ放しにされたドアの向こう側で、視線が止まった。