◇糖度爆発◇【ケンカ上等☆続編】
さっきの会話からして、そうなんだろうなって薄々感じてはいたけど。
実際に言われると、実感ってわいてくるものだ。
「いやぁさ、オレだってちゃんと断ったよ?
芽咲いるし、オレには誰がなんと言おうが芽咲しかいないし」
「うん…」
小さく相槌を打って、ぼんやり視界の端で太陽を見た。
直視できるほどの勇気が、あたしにはない。
太陽が必死に弁解するのも、その気持ちも何となくはわかるけど……
「でも、事実、今のを芽咲が見ちゃってたらすごく傷付くと思うよ」
もし、もしこのことを芽咲が知ったら?
自分の彼氏が、他の女の子とキスしてたら?
そこに好きって気持ちがなかったとしても、知らんぷりできるだろうか。
「だからお願い~!
このこと、芽咲には黙っておいて…頼む!」
両手を顔の前で合わせて拝む太陽を、あたしと翼はため息混じりに見つめる。
答えを出せないあたしの変わりに、椅子から腰を上げた翼は、合わせられた太陽の手を思い切り振り払って言った。
「おまえな、こんなくだらねぇこと隠してても、どうせすぐにバレちまうぞ。
下手に隠してみろ、逆に芽咲が不安になって誤解招くかもしんねぇ。
それにあの女──」
そこまで言いかけて、今度は躊躇うように口を閉ざす。
何を、言いかけたんだろう。
「それに?」
太陽が聞き返すけど、翼は困ったような表情のまま。
「んまぁとにかく、芽咲に話せってことだよ。
嘘つくくらいなら、いっそ正直に言えばいいんじゃねぇの。
太陽が手出したわけじゃねんだろ?」