for you
「ちゃんとおいしいのか、それ。
俺にも食わせろよ」
そう言って、拓也は梓の手の中にある
包みを取ろうとした。
その瞬間、
「あッ!ダメ!!」
あたしは拓也よりも先に
包みを奪う。
「なんだよ?」
このあたしの行動に
不機嫌になったのか、拓也は
あたしを睨んでくる。
「拓也は食べちゃ、ダメ!!」
だって、後で本命チョコ上げるんだもん。
だから今それを食べて欲しくなかった。
「はい、梓」
梓にチョコの包みを返した。
拓也、変に思ったかな。
でも今のは仕方なかったし…
あたしはこの空気を変えるべく、
違う話題へもっていこうとした。