for you

こうなったら勢いだ!
と思ったあたしは拓也の方へと向かった。

拓也の前でピタッと立ち止まり

「拓也、今日の放課後教室残ってて」

と言う。

「なんで?」

無表情で言ってくる拓也に今のあたしは怯えない。

「なんでも!」

半ば叫びながらそう言うと、すばやく拓也の前から消えた。



走って、走って廊下の突き当たりの人影がないところまで着くとあたしはへたり込んだ。


心臓が、すごいドキドキ鳴ってる。


やばい。


これは走ったからじゃない。


もう後戻りできないからだ。


後戻りなんかもう絶対しないけど、拓也残っててくれるだろうか。


流石に帰っちゃったら…



いや、拓也を信じよう。
なんだかんだいって拓也優しいもん。




残っててくれる…よね?
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