for you
「もらってないけど…」
「えーダメじゃん!冗談っぽくでもいいからもらいに行けば?」
思ってもないことが次々と口から出てくる。
本当は行って欲しくなんかないのに。
他の子からチョコをもらって喜ぶ拓也なんて想像だってしたくない。
でも
「ほらっ!さっさと行けっ!!」
ほとんど怒鳴り声に近い声で叫んだ
あたしの声は2人だけの教室にやたら響いた。
目の前にはビックリしている拓也。
あたしはなんて
馬鹿なんだろう。
「お前なに怒ってんだよ」
「………怒ってないよ」
「そうですか。じゃあお前の言うとおりその子のとこ行ってくるわ」