for you
誰もこの道を通ってくれなかった。
さっきから小さくうずくまっているのに、誰も声をかけてくれない。
う゛う゛…。
もう泣いちゃうぞ。
もう完全に弱気になっていた、その時だった。
「どうしたの?」
ハッとなって見上げた。
誰か来てくれた!
助かったよ。
「どうしたの?」
見上げた先の男の人がまた言った。
あたしは慌てて
「お腹!お腹痛くて動けないの」
と、言う。
「立てないの?」
「うん…」