メランボス
主を殺したこいぬちゃんかと思ってみれば、少し気の毒な気分になってしまった。
「メランボスは夜通し泣き続けたよ」
「またそういう、私の悲しみをあおる話はやめてください」
「まだこれは序章だよ。いいかい、別に君を悲しませるために話をするわけじゃない。知ってほしいんだ。
知識として、思い出として、ああこんな話もあったなと夜空を見上げた時に思ってくれればいい。
下界には伝わらない、本当にあった星座たちの物語を」
こくんと唾を飲む。
どうしても聞かせたいんだと彼の話には熱が入るが、語り口調はどこか優しく切ない印象だった。