メランボス
もう悲しい思いをしないようにと、誰にも飼われないキツネの姿にしてメラは新たな生を歩むことになりましたが。
「……、キュー」
新たな姿を見て、メラは絶望しました。
死にきれなかったことへの絶望。
神様は慈愛だけもってメラを転生させましたが、メラの気持ちまでは分かりませんでした。
主と共に死にたかった。
「キュー、キュー」
また一晩中泣く羽目になりましたが、泣くにはそこに主の姿はありません。
神様が死体たる主を土に還してしまったのです。
「キュー……」
やり場ない悲しみが胸の内にたまります。
泣くにも、泣かなきゃいけない対象がどこにもないのだから。