グラスの水
水
さわがしい放課後。
帰りにどこに寄って行こうか、何か食べに行こうか。
生徒たちのさまざまな声が飛び交う放課後の昇降口。
下駄箱で靴を履き替えようとしたら、ふいに誰かに名前を呼ばれた。
「美里っ!」
振り向くと、雄都がかわいらしい笑みを浮かべながら私の肩を叩いている。
なんで堂々と話しかけてくんの...って思いながらも、ちょっと喜んでる自分がいる。
「なに?」
なんて答えるかはだいたいわかっていたけど、一応用件を聞いてみる。
雄都は顔を近づけ、そっとささやいた。
『今日暇だから遊ばない?』
やっぱりね。
「いいよ。あとで行くね。」
そう告げると、雄都は嬉しそうな顔をしてさっさと学校を出て行った。
見えなくなってから、軽くため息をついた。
なんでこんなふうに普通になってしまったんだろ...