キミがいた証
昔ばなし
これは俺が高校1年の時―…
「煌輝、帰ろうぜ!」
「おう!」
俺は毎日、親友の優斗と一緒に帰っていた。
「って、また絡まれたのか?」
呆れたように優斗が聞いてくる。
「あぁ。」
きっと、俺の怪我を見て気が付いたのだろう。
「遣り返さないんだな…お前は…」
そう、俺は絡まれても遣り返すことはなかった。
因みに弱いからではない。
空手や柔道だってやってるから、自分で言うのもなんだけど、結構強いと思う。
「いっつも思ってたんだけどさー、なんで手ぇ出さねぇの?」
もちろん理由は唯一つ。
「泣かせたくないからだよ、真白を。」