キミがいた証
―パタパタパタ
走って真白が帰ってきた。
「もぉ!お兄ちゃん!喧嘩しちゃダメだよ!」
膨れながら言いつつも、悲しそうな顔をする。
「もうしたらダメだからね?」
そして俺のことを本気で心配する。
「あぁ。分かってる。」
だから、俺はやり返さないんだ。
喧嘩して相手を傷付けたら、真白が悲しむだろ…?
それから母さんが帰ってきて、飯を食って、風呂に入って、何時ものように家族で他愛もない話をしていた。
そんな日常が、数時間後には崩れるだなんて、一体誰が思ったのだろうか。