二重世界
迫り来る闇
「亮ちゃん!やめて!……やめてよ!私じゃないの!あれは私じゃないの!」




‘お前だよ!'




「私は殺されたのよ!……お願い……もう、私を責めないで……」



少し前から、香織の寝息が止んでいた。私は自分の手が強く握られる感触を覚える。


「詩織、どうしたの?怖い夢でも見た……?」


香織……


「私……、私はなんのためにここにいるの?」


「詩織……。大丈夫。もう大丈夫よ。あたしがいるから」


香織は体を向け、私を抱き締めた。優しく、強く。泣きじゃくる私を包み込んでくれる。


私の泣き声と、時計の音だけが部屋に響き、香織は黙って私を抱いていてくれた。


「詩織は悪くないよ。悪いコじゃない。あたしが1番知ってるからね……」



ありがとう香織……。



そして私達は、いつしか眠りの中に入っていった。
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