二重世界
「は、離して……!」


私は倒れながら、絡みついた手を左足で必死に蹴飛ばす。

すると骸骨の手は、手首のあたりからポッキリと折れ、私の右足には固く冷たい手だけが絡みついていた。


「やだ……やだやだ!」


恐怖で混乱しながら、私は骸骨の手をひっぺがす。


「こ、これ、こんなのなかった!お化け屋敷のアトラクションじゃない!」


私は、恐怖でガクガクと震える足を押さえつけ、その場から離れるように歩き出した。
走りたいけど、足が思うように動かない。


「もしかして、二重世界の住人の仕業?2次世界に引き込まれた……!?」


迷路のように広がるお化け屋敷の中を、私は出口を目指して移動する。


「‘あの男'の2次世界は、眠りから覚める事によって逃れられた。だったらこの世界にも脱出方法があるはずなんだ!多分、お化け屋敷を出れば……!」
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