二重世界
「ねえ、ちょうだい……」


女の子は徐々に私との差を詰めてきている。
いや、女の子なんて可愛らしいものではない。
あれは、悪魔だ……


「もしかして、あれがこの2次世界の主……?だいたい何なのよ、私の首が欲しいって言うの!?」


そのとき、目の前にヌッと白いものが下から現れた。


「首じゃないの」


突如現れたのは、さっきの女の子。見たくないのにはっきりと顔が見えてしまった。




……右目がない!!




そして左目からは、あたかも、今つけたばかりのように、ダラダラと血が流れていた。


引きずっている生首の目……!?


「あ……助け……」


私は尻餅を着き、ジリジリと後ずさるしか出来ない。


「ねえ、これ、ちょうだい……」


女の子の右手が、私の右目に軽く触れた。


小さな手。


生きている人間ではない、ひんやりと冷たい手。


「やめて!!」
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