二重世界
数億分の1…。でも可能性がないわけじゃない。


「冥界にたどり着くのが怖くて、放浪者になっている者も数えきれないほどいる。放浪者になるくらいなら、冥界へ行って静かに暮した方が数十倍も幸せだよ」


「そうかもしれないわね」


そう答えた私の瞳は、生への道しか見ていなかった。その事にメイフも気付いたのだろう。


「それに生き返ったとしても、さらに惨い現実が待っているかもしれないよ」


「それでも構わない!」


「ふう、頑固だね…。でも、彷徨い続ける内に、生への執着は薄くなっていく。これだけは聞いておいた方が良い」


「何?」
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