二重世界
私は亮ちゃんにおぶられ、お化け屋敷を出た。
出口では、なかなか出てこない私達を心配したのか、香織と南くんが立っていた。


「と、藤堂くん、もう大丈夫だから!」


「あ?ああ」


亮ちゃんに下ろされた私は、ヨロヨロしながらもなんとか1人で歩く。


「詩織!心配したよ~。あんた弱そうだからさ、こういうの」


「はは……。香織が行こうって決めたんだけどね」


「でも良かったでしょ?おかげで藤堂と近付けたんじゃない?」


それどころか、本気で死ぬところだったわ。。


「ま、まあね」


「暗くなってきたから、ご飯食べて帰りましょっか!」


香織のひと声で、私達はドリームランドを後にした。この仕切り能力は素晴らしい。

東京駅で、南くん以外は別の電車に乗る。香織は私の家に泊まりに来るからだ。


「俺も混ぜろよ~。そうだ亮二!俺らも片瀬の家に行こうぜ!いいだろ片瀬」


急な南くんの提案に私は戸惑う。
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