二重世界
私は今、部屋で1人、香織を待っている。
香織はお風呂で体を休めているところだ。

帰宅してから、香織は下着姿になって何度か私をお風呂場に引きずり込もうとした。

別に女の子同士でお風呂に入る事は変じゃないけど、この家のやや狭い湯船で密着したら、色々なイタズラをされ兼ねないし。


「香織、案外あっさり諦めたな。‘お楽しみは取っておくか'ていうセリフが気になったけど……」


私は少し眠気に襲われ、ベッドに横たわった。寝転がりながら伸びをしたら、大あくびが出る。


「ふあ……んん、そういえば能力使ったから眠いんだ。香織が出るまで起きていられるかなあ」


徐々に私の意識は薄れて行く。遠くでガタガタと音が聞こえるが、既に夢見心地……。




「詩織?し~おり!無防備に寝てるわね。可愛いわあ、このまま色々しちゃいたくなる……」


香織は人差し指で、私の頬にツンと触れる。


「ん……」
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