二重世界
「ごくりっ。……失礼します」


なんだか、さっき頬を触られた気がした。それに今、ガサゴソと音がして、同時に私の肌と服が擦れるような……


「気が……、か、香織!何しようとしてんの~!」


香織が私の上着のボタンを一番下まで外し、服を脱がそうとしていたのだ。
私は咄嗟に飛び起き、またボタンをし直した。


「だって寝顔が可愛いんだもん」


香織はニッコリと微笑んだ。香織にとって私はお気に入りのお人形さんみたいなものなのだろうか。それにしても、服を脱がすかな……。


「はあ、疲れて寝ちゃった。じゃあ私、お風呂入ってくるね」


「ええ、あたしも入ろうかな……」


「香織は入ったばっかでしょ!」


私は湯船に浸かり、今日の出来事を思い浮かべそうになる。


「はあっ、ダメ!忘れなきゃ……」


お風呂から出ると、今度は香織がベッドで横たわってすやすや寝ていた。
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