二重世界
三輪 香織
「はっ!?……詩織のベッド?なんかあたし、嫌な夢見てた気がする。妙に生々しい…」


香織が目覚めた時、私は香織に背を向けいた。ピッタリとくっつき、安心感の中で眠りについていた。

私の中に流れてくる片瀬詩織の記憶のかけらが、三輪香織という存在の大きさを感じさせている。

片瀬詩織にとって、香織は昔からの親友であり、自分を守ってくれるヒーローでもあったのだ。

両親を事故で亡くしたとき、常に傍にいてくれたのも香織だったみたい。


片瀬詩織は香織の事を深く、とても深く信頼している。詩織がいじめられた時、困っている時、いつも香織が助けてくれた。


その大きなきっかけとなった事件があった、という事はわかるのだが、何があったのかは思い出せない。

片瀬詩織がその記憶を封じ込めているかのように、記憶の糸を辿ろうとすると頭が痛くなるのだ。
< 128 / 265 >

この作品をシェア

pagetop