二重世界
少し目を開け香織の顔を見るが、暗がりに目が慣れてないためよく見えない。
私は目を瞑り、再び眠りにつく。


「う~ん暗くて詩織の顔がよく見えないなあ。寝顔が見たいから、目が慣れるまで起きてよう」


次第に暗闇に目が慣れ始めると、香織は私の寝顔をしっかりと認識したようだった。


「寝顔可愛いねえ、詩織は。………詩………織……を……」


もう少しで深い眠りにつきそうだった私は、香織に頬を触られる感触を意識の片隅で感じている。


「もう、香織……何して……んむっ!」


一瞬口元に温かな吐息を感じたと思うと、私の口が香織の唇によって塞がれたのだ。


(香織!キスして……!?)


「んん!……んはあっ!かか、香織!?何してん……んむぅっ!」


香織は私の手を押さえ、また唇を重ねてくる。


(や、ヤバイ!香織、本気で、あっちの気が……!?ちょっと、どうしたらいいの~!)
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