二重世界
私は無我夢中で、タックルのような体勢で香織に突っ込んだ。
そして我ながら見事に香織を押し倒し、両肩を押さえて必死に香織に呼び掛ける。


「香織!お願いだから正気に戻って!」


空手をやっている香織に向かっていくなど、無謀な行動だ。
ベッドから離れた時、あのまま逃げる事も出来た。

でも、私にはわかっているんだ。片瀬詩織と香織の絆を。深く、太く、強い、2人の絆を。


「うう、詩織……」


「香織!?目を覚ますのよ!」


「詩織………、ごめんね……」


「香織……?大丈夫?」




「殺してごめんね!!」




「うぐぅっ!」


馬乗りになっていた私はいとも簡単に切り返された。そして逆に香織に馬乗りになられ、首を絞められる……


「う……、香織……」
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