二重世界
すると、私の首を絞める手の力が弛くなり、香織はフッとその場に倒れた。


「かはあっ!はあっ、はあっ……。あ、あなたは……」


私を救ってくれた目の前の人はこっちを振り向き、無邪気な笑顔を作った。


「あんまり無茶したらダメだよ」


そう言うと、彼は部屋の壁をすり抜けて出ていった。




「アオ……!」




青い目。人懐こい笑顔、諭すようなものの言い方、そしてあの異能。間違いなく、過去の夢で出会ったアオだった。


「どうしてアオがここに……?」


過去の夢において、あそこで死ぬはずだった彼を結果として救い、私も彼に助けられた。

アオはちゃんと生きていたのだ。やはりあれは私の2次世界。私の2次世界は、人の運命を変える事が出来る……。


そして今、アオは私の命を救ってくれた。


‘君とはまた会う気がするよ'


「もしかしてアオは、私を守るために傍にいてくれたの?」
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