二重世界
「ね、ねえ、もしかして、それ……あたしが……?」


「違うわ!これは、その……、ねえ、もう寝ようよ」


私は咄嗟に何も思い浮かばず、とにかく笑顔を作った。

しかし香織は何かを思い出したように、ガクガクと体を震わせる。


「あたし………、詩織を、殺そうとした……!その首、あたしがやったんだ……」


「香織、何を言ってるの!?悪い夢でも見たんじゃない……!?」


「あ、あたし、詩織を守る役目なのに……!……嫌ぁああ!」


香織は完全に自分を見失い、部屋を出ていった。


「香織!!待って!!」


私もすぐに香織を追う。




「なんだよ、片瀬のヤツ、なんで出ねえんだ。こうなったら……、うわ!」


亮ちゃんがドアに突っ込もうと、勢いをつけるため後ろに下がった時、バタンとドアが開いた。


「三輪?」


そしてその後、私が家の中から外へと駆け出る。


「片瀬!?」


「あ、亮ちゃ……藤堂くん!?お、お願い、香織を追って!私じゃ追い付かない!」
< 138 / 265 >

この作品をシェア

pagetop