二重世界
私はしばらく迷った末、右の扉に手をかけようと決意した。





「おめでとう。君の行先は、幸せな冥界だよ。さすがに良い感覚を持っているね……」





右の扉を開けようとした瞬間、私の脳裏にメイフの言葉がよぎった。



‘生き返るよりも冥界の方がずっと住みやすい'



ダメ!!



扉に手を触れる寸前、私は咄嗟に体ごと後ろに飛び退いた。


今私が考えている事は、きっと当たっている。

メイフは言ったもの。真っ直ぐに冥界に行った方が幸せ、みたいな事を。


多分、右の扉はいきなりゴールだ。


でも、いきなりゴールって事は、それだけ死後の世界を幸せに過ごせるっていう事よね?


もし生き返ったとしても、私はまたあの男に命を狙われるだろう。

ストレスフルな日々が続くに違いない。それって果たして幸せなのかしら?

いや、それよりも、本当に生き返れる!?数億分の1の確率なんてバカげてる。
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