二重世界
そしてとうとう私は下着をずり下ろされてしまった。


嘘でしょ!?
私、このまま……




「詩織に何してんのよ!!!」




え!?


香織だ!
香織が助けに来てくれたの……?


小学校4年生の頃から空手を始めた香織は、私に被さっていた男を蹴りあげ、同時に後ろにいた男のナイフを持つ手を掴み、拳を振り上げた。


「は、離せ、このヤロウ……、ぐあっ!」


そのまま香織は男を殴り飛ばし、私の前に立つ。


「お巡りさん来るから安心して、詩織」


その言葉を聞いた男達は、すぐさまその場を立ち去っていった。


「か、香織……、ひっ、ぐっ……」


体が恐怖で震えて声が出せない。私は必死で香織にしがみついて泣いていた。


「詩織、大丈夫よ。あたしがいつでも守ってあげるから。何かされる前で良かった、本当に……!」


香織も私を抱き締めて泣いてくれていた。


両親を失った片瀬詩織にとって香織は、親友であり、家族のようでもあり、いざという時はいつも駆け付けてくれるヒーローだった。
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