二重世界
ふと気付くと、私には亮ちゃんが走って香織を追う姿が見えた。


「時間経ってない……。でもなんで今、あんな記憶が流れてくるの!?私も追わなきゃ!」


私もとにかく走った。
この体は以前の私以上に運動向きじゃないみたい。亮ちゃんお願い……



「おい三輪!止まれこのブス!レズ!……反応なしかよ!あ……、おい……!!」



私が、大通りに繋がる路地を曲がると同時に、車の急ブレーキの音が鳴り響いた。




そして私の目に飛び込んできたのは、宙を舞う香織の姿……




両親を失った片瀬詩織にとって香織は、親友であり、家族のようでもあり、いざという時はいつも駆け付けてくれるヒーローだった―――


そして、生き返って孤独だった私にとっても、たった3日間で香織は、掛けがえのない存在になっていた。




‘香織がいなくなったら私……'




ああそうか。


あれは私……藤瀬ヒロミの言葉でもあったんだ…………
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