二重世界
亮二の決意、ヒロミの決意
「三輪!!あんのバカ……。おい三輪!三輪!!」


亮ちゃんが香織に駆け寄る。香織はピクリとも動かない。


「またこの光景……。あそこに倒れてるのは香織?それとも私……?あの夢の続きなの……?ねえ、そうであって!!」


私は混乱して、夢と現実の区別がつかなくなっていた。眠ってないのに過去の記憶が映像として流れてきたさっきみたいに、これは夢だと思い込もうとした。


「そっか、これ、夢なんだ……。早く、目覚まさないと……。早く、早……、はっ、はうっ、呼吸が……」


「片瀬!救急車呼べ!片……」


私はあまりのショックで呼吸困難になり、その場に倒れた。

香織を跳ねたトラックの運転手が、外に出て茫然自失で立ち尽くしている。


「おいオッサン!救急車呼んでくれ!くそっ、携帯持ってくりゃ良かったぜ……!」


「あ、ああ……やっちまった……」


運転手は、亮ちゃんの言葉も耳に入らないほど、我を失っている。
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